

音楽に迷う晴太は、山奥で鳥の声に魅了され、
ろう者の姉・あずみとの再会を通して「音」と向き合っていく。

あらすじ
東京でミュージシャンとして働く晴太は、広告で使用される音楽を作って生計を立てている。そんな中「自由に音楽を作って欲しい」という依頼に、自分が納得する音楽が浮かばずスランプに陥ってしまう。落ち込んだ晴太は行方をくらまし、幼少期に家族と過ごした山奥のペンションへと向かっていた。一人音楽と向き合う晴太だが、鳥の鳴き声に魅了されて録音することに夢中になる。そこへ、ろう者の姉・あずみが現れて……。
イントロダクション


ろう者の両親の元で育ったルーツを持ち、本作では手話の監修や指導も担った。
晴太の心の機微を丁寧に掬いとり、観る者の心と物語とを呼応させる。
2021年。コロナ禍で 稲川悟史、田中志朋、尾崎健の3人が「映画を作ろう」と集まったことがきっかけで企画された本作。出演者を当て書きするシナリオではなく、2人の俳優がこれまで学ぶことのなかった技術を体得し、それを作品へと昇華させることをテーマに置いて制作は進められた。稲川はこれまで触れる機会のなかった「音楽」、田中は表情や手などの動きが重要視されるコミュニケーションツール「手話」をそれぞれ選択。第39回ぴあフィルムフェスティバルに上映された『やさしいフルスイング』(2017)に続いてこれが長編2作目となる尾崎が、この2つの要素を取り入れた脚本を執筆し、監督を務めた。3年という製作期間経て、2024年に自主映画として完成。第49回サンパウロ国際映画祭新人監督部門、第25回TAMA NEW WAVE メインコンペティション部門へと出品された。
都会暮らしで自分らしさをすり減らした主人公・晴太を演じるのは、本作が映画初主演となる稲川悟史。ろう者の両親の元で育ったルーツを持ち、本作では手話の監修や指導も担った。晴太の心の機微を丁寧に掬いとり、観る者の心と物語とを呼応させる。
物語に瑞々しさを与える晴太の姉・あずみを演じるのは、伊藤高志監督『3人 の女』(2016)で主演を務め、尾崎健監督『やさしいフルスイング』へも出演する田中志朋。本作ではマイペースでパワフルな姉を演じ、強い存在感を放つ。
あずみのパートナー・太一には、第39回ぴあフィルムフェスティバルにて審査員特別賞に輝いた『沈没家族』の監督・加納土。
第73回ベルリン国際映画祭フォーラム部門へ出品された太田達成監督『石がある』(2023)では主演を務め、今回は言語の壁を飄々と乗り越える太一を、ユーモラスに演じている。
キャストプロフィール
田中志朋
たなかしほ

(あずみ 役)
1994年生まれ、岡山県出身。京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)在学中、伊藤高志監督作品「三人の女」(2016)で主演を務める。主演映画「お姉ちゃんは鯨」(2016)にて第28回東京学生映画祭最優秀役者賞を受賞。脚本、主演を務めた短編映画「moving」(2021)では第23回長岡インディーズムービーコンペティションにてグランプリを受賞。
稲川悟史
いながわさとし

(晴太 役)
1995年生まれ、愛知県出身。2015年、劇団子供鉅人『組しだかれてツインテール』(演出:益山貴司)に出演したことをきっかけに上京し、俳優としての活動を始める。2021年平田オリザによる私塾・無隣館4期を経たのち、青年団+江原河畔劇場 演劇学校“無隣館”公演『カガクするココロ』(演出:平田オリザ)に出演。俳優活動とは別に演劇作品の記録映像の撮影、編集なども行う。ドラえもんについての知識が豊富。
加納土
かのうつち

(太一 役)
1994年生まれ、東京都出身。第39回ぴあフィルムフェスティバル審査員特別賞を受賞したドキュメンタリー映画「沈没家族」(2017)を監督。 第73回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映された映画「石がある」では主演を務める。著書「沈没家族 子育て、無限大。」(筑摩書房)。現在植木屋見習いとしても活躍中。
監督プロフィール
尾崎健
おざきたける

(〇〇 役)
1992年生まれ、兵庫県出身。京都造形芸術大学(現京都芸術大学)映画学科にて伊藤高史、林海象から師事。
第39回ぴあフィルムフェスティバルで「やさしいフルスイング」(2017)が入選。短編映画「moving」(2021)では第23回長岡インディーズムービーコンペティションにてグランプリを受賞。
本作「鳥を導く」(2024)が、第49回サンパウロ国際映画祭新人監督部門、第25回TAMA NEW WAVE メインコンペティション部門にて上映。
幼少期をアメリカで過ごした過去から、海外にもルーツをもつ人たちを対象にしたアートプロジェクト「KINOミーティング」にも参加。